CBR1100XXのラジエターファンモータ交換

7月19日に、突然水温計がHまで振り切るという事象が発生した。ラジエターを見てみるとファンが回っていない。

ここで、故障は以下の三点が考えられる。

  • ファンモータ自体の故障
  • サーモスイッチの故障
  • ファンモータ系統の配線の断線

サーモスイッチはエンジンをかけて水温を上げて接点が導通するかどうかテスターで調べた。結果は異常なし。水温が上がれば接点は繋がるし、水温が下がれば接点は切れる。

配線の断線は、ちゃんと調べようと思ったらテスターで導通を調べないといけないが、とりあえずヒューズを見た。ヒューズは溶断していた。しかし、これで配線がどこかでショートしていると考えるのは早計だ。モータ自体の故障でも過電流が流れる可能性はある。

試しにファンをドライバーでつついて回そうとしてみたが、回らなかった。どうやらモータが固着しているようだ。ヒューズはファンが固着したことにより過電流が流れて切れたと思われる。

サービスマニュアルの手順では、ラジエターを外してからファンを外すことになっているが、ラジエターを外すにはクーラントを抜いて配管を外して…とかなり大掛かりな作業になってしまう。試しにラジエターの下の部分だけ外して手で押し広げて隙間からレンチを突っ込んだらファンのボルトが外れたので、ラジエターを車体に付けたままファンを外せた。

ラジエターを横から見た写真
ラジエターを横から見る。コネクタやサーモスイッチが見える。これだけ隙間があれば、ラジエターを外さなくても隙間からレンチを突っ込んでファンを外せる。
ファンをモータ側から見る
ファンをモータ側から見る。
ファンをファン側から見る
ファンをファン側から見る。
ファンのフレームに異物が付着している
ファンのフレームに異物が付着している。
サーモスイッチに接続するコネクタ
サーモスイッチに接続するコネクタ。250型の平型端子メス。
ファンモータのコネクタ
ファンモータのコネクタ。車体側のコネクタと分離するには、赤丸で囲った爪を矢印の方向にずらして引き抜く。この爪は車体に付いている状態では反対側を向いているので少々作業しにくい。

コネクタは初めて見た形だ。配線コムで調べたところ、住友電装製HM防水シリーズ3極Mコネクタだった。

ファンを車体から外す前は確かに固着していたのだが、外してみたら固着していなかったので試しに回してみた。

始動時の電流
始動時の電流。ヒューズの容量10Aをわずかに超えるが、一瞬なので溶断する程では無い。
定常時の電流
定常時の電流。4A弱と、10Aのヒューズの負荷としてはいたって普通だ。

不具合が再現しなくて困ったが、次の日にもう一度調べたら固着していた。しかし、少し動かすと固着が解かれる。これはもうモータ自体の故障で決まりだ。

パーツカタログでモータの品番を調べたらV,W(自分のはV)は19030-MAT-003だが、廃番になっていた。試しにX,Yの19030-MAT-E00とIの19030-MAT-021も調べたが、どちらも廃番だった。つまり、CBR1100XXの純正のモーターAssyは全て廃番だ。

仕方ないので、Webikeで似たような形のモーターAssyが無いか探してみた。

19030-MBB-640
VTR1000Fファイアストーム、スーパーホークIII CB400D
19030-MBW-610
CBR600F
19030-MCA-003
ゴールドウイング
19030-MER-D01
CBF600S、CBF600
19030-MT3-003
ST1100パンヨーロピアン
19032-MCA-003
ゴールドウイング

似たような形のファンモータがこれだけ引っかかったが、全てCMS経由なので、注文してから来るまでに3週間とかかかってしまう。これらの部品の品番で純正部品検索をして、値段が極端に高くないものという条件にしたら、ゴールドウイング用の19032-MCA-003が22880円だったのでそれを選んだ。尚、自分が注文したのが最後の1個だったらしく、後にもう一度検索したら廃番になってしまっていた(ゴールドウイング乗りの方、ごめんなさい!)。

19032-MCA-003の箱
19032-MCA-003の箱。“新品”の筈だが随分年季が入っている。
19030-MAT-003と19032-MCA-003の比較
19030-MAT-003と19032-MCA-003の比較。コネクタの形が違うが、モータは全く同じ形だ。モータのメーカはDENSO辺りかと思っていたが、どうやらPanasonic製らしい。

このモータはそのままではCBR1100XXにはつかないので、先ほど配線コムで調べたコネクタも注文した。

モータが届いたら、早速配線をぶった切ってコネクタや配線を取り付ける。貴重な新品の純正部品に元に戻せない加工をするのはかなり抵抗があったが、そのままでは使えなくて押入れの肥やしになるだけでありそれも勿体無いので仕方ない。

配線コムで注文したコネクタと端子
配線コムで注文したコネクタと端子。
緑色の配線とφ6mm丸型端子
1.25mm2の緑色の配線とφ6mmの丸型端子。配線はチューブで隠れて殆ど見えなくなるので別に色に拘らなくてもいいのだが。
新しいモータの配線を元々のモータと同じように加工する
新しいモータの配線を元々のモータと同じように加工する。チューブは新しいモータの配線をぶった切ったときに取れたものを加工して流用した。

モータと並列に繋がっている謎の黒い部品は不要なので外した。外した後で気付いたが、この部品はどうやらモータのノイズ除去用コンデンサらしい。250V 0.47と書いてあるので、おそらく耐圧250Vで容量が0.47μFなのだろう。コンデンサなら別にあっても困らないし、付けたままにしておけばよかった。

恐らく、このモータを取り付けるゴールドウイングはECUがついていて、誤作動防止のためにノイズ除去をした方がいいのだろう。しかし、キャブレターのCBR1100XXにはECUがついておらず、それっぽいものと言えばエンジンの点火タイミングを制御するイグニッションコントロールモジュールがあるくらいだ。だから多少のノイズは大丈夫なのだろう。

また、φ6mmの丸型端子と写真には無いが250型の平型端子と小さいタイラップが必要だ。

モータを交換したファンをモータ側から見る
モータを交換したファンをモータ側から見る。
モータをファンをファン側から見る
モータを交換したファンをファン側から見る。
ファンを車体に元通りに取り付ける
ファンを車体に元通りに取り付ける。
ヒューズボックス
ヒューズボックス。
ファンのヒューズが切れている
ファンのヒューズが切れている。
切れたファンのヒューズを交換した
切れたファンのヒューズを交換した。

その後、冷却水が温まったらファンは無事に元気よく回り、修理が完了した。

自宅からそれほど遠くない通勤経路で起こった故障だったので大した被害は出なかったが、ロングツーリングの出掛けた先で起こったらと思うとぞっとする。

作業時間自体は多分合計3、4時間程だと思うのだが、モータを注文して部品待ちだったり、仕事の絡みで明るい時間に作業時間を取れなくて結局直るまでに11日かかってしまった。

今回は何とか別の車種のモータを流用出来て事無きを得たが、次にまた同じ不具合が出たらその頃はもうモータが無いかもしれない。その場合はオーバーホール屋さんに出してモータをオーバーホールして貰うしかない。

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