目次
- 導入編
- マイコンプログラム編
- 回路設計・組み立て編
設計した回路を下図に示す。
HK829とNJM386の周辺は殆どデータシートの回路例の通りなので、何も難しい事は無い。HK829のメッセージ再生用スイッチの代わりにマイコンを接続した部分は、今回アレンジした点。HK829のスピーカー出力の部分はデータシートに386では無い別のアンプICに繋ぐ例が載っていたので、それを参照した。
導入編でも述べたが、HK829のM0~M3のピンはIC内部でプルアップされており、開放電圧を測ったらほぼ電源電圧だった。マイコンのGPIOも待機状態でHigh(=電源電圧が出力されている)であり、HK829のデータシートを読んだ限りではM0~M3にHighが入力される事は想定されていないようなのでそこが少し心配だが、HK829のHighもマイコンのHighもほぼ同電位なら殆ど電流は流れないから大丈夫だろうと勝手に納得することにした。間にトランジスタかMOSFETを挟んで開放状態を作り出す事も可能だが、面倒臭かったので。もしICが突然壊れたらこれが原因という事で対策の候補の一つになるだろう。
まずはブレッドボードで組んで実験した。ICに録音する際は、TVの音声を一旦PCに録音し編集してWalkmanに移し、Walkmanの出力をブレッドボードに接続した。PCから直接接続して録音してもノイズだらけで使い物にならなかったので、面倒だがこの手順を踏んだ。そしてテスト再生は見事に成功した。
こうして設計した回路をユニバーサル基板に組んだ。
この際、回路図上でHK829のMIC+、MIC-、MICG、/RECに接続されている部品はメッセージを再生する上では必要無いので省略した。
- 写真1: 基板表
- 写真2: 基板裏
ケースはタカチのSW-85S。よくある72×47mmの基板の回路を収納するのにちょうどいい。
当初はモバイルバッテリを電源にしようと思っていたが、ケースに入りそうなモバイルバッテリを見つけられなかったので単4電池3本にすることにした。始めは電源電圧は5Vの想定で回路を設計していたが、データシートを見る限り4.5Vでも全てのICの定格電圧範囲に入っていたのでよしとする事にした。基板との接続はXHコネクタにして、道具を使わなくても着脱できるようにした。
- 写真3: 電池ボックスと電源スイッチ
- 写真4: 電源スイッチ拡大
- 写真5: XHコネクタ拡大
ハンドグリップに付けるスイッチは秋月電子通商で売っていたSS-10GL13というレバー付きのマイクロスイッチにした。接点の定格はAC250V10.1Aで、機械等に使う工業用と思われる。ロジックのHigh、Lowを切り替えるという数mAオーダーの電流しか流れない用途には明らかにオーバースペックだが…。大きさやレバーがあることなどが今回の用途にちょうど良かったので選定した。
ハンドグリップはダイソーで25kgのものにした。ハンドグリップにスイッチを固定するのは、ホームセンターで配線を束ねるための金具を購入してスイッチのねじ穴に合うように穴を開けて加工した。
ケースにホームセンターで売っていた4mmの雄ねじが切ってあるヒートンを取り付け、ハンドグリップの輪の部分とカラビナで繋げた。
スピーカーは秋月電子通商で売っているDXYD50N-22Z-8A-F。5cm程度でフレームにねじ穴がついていてケースに取り付けるのが楽なのが選定理由。
ケース加工の寸法を下図に示す。
- 図2: ケース加工 蓋にスピーカー取り付け穴を開ける
- 図3: ケース加工 底面に基板取り付け穴を開ける
- 図4: ケース加工 上面に電源スイッチとヒートン取り付け穴を開ける
図は省略したが、この他に電源スイッチとヒートン取り付け穴を開けた反対の面の中心辺りにハンドグリップに取り付けるスイッチの配線用の穴を開ける必要がある。
そして、基板に組んだ後で改めてブレッドボードでHK829と最低限の部品で回路を組み、試しにスピーカー端子に直接スピーカーを繋いでみたら、なんと結構な音量で音が鳴ってしまった。386のアンプ回路は要らなかったことになる。しかし今更基板を組み直すのも面倒なので、そのままにした。
完成写真を以下に示す。
- 写真6: 完成写真
- 写真7: 完成写真(蓋を開けた様子)
- 写真8: 完成写真(蓋を開けて上から見た様子)
ピンバック: 【HK829とマイコンを使用】にぎったら「にぎにぎ」「コメコメ」としゃべるハンドグリップを作ってみた【導入編】 | Tales of Black-Mant 2