目次
- 導入編
- マイコンプログラム編
- 回路設計・組み立て編
シリーズ19作目で17代目のデリシャスパーティープリキュア。今回は早い段階で追加プリキュアの登場を匂わせ、おもちゃ等いろんな方面から情報を小出しにして全く隠す気がなかった。自分はスイート♪プリキュアのキュアミューズの情報がシリーズ後期までかなり厳重に隠されていたのが印象的なので、今回の追加プリキュアの情報を全く隠す気がない公式の動きにまた別の強い印象を覚えることになった。
ここ数週間はキュアフィナーレの登場で界隈が盛り上がっているところではあるが、今回はキュアプレシャスについての話だ。
ゆいがキュアプレシャスに変身する時の始めの方で、ゆいとコメコメの「にぎにぎ」「コメコメ」「ハートを」「コメコメ」「シェアリンエナジー!」「コメー!」というやり取りがある。
これは仕草としてはゆいがおむすびを握っているものなのだが、この変身シーンを何度か見ている内に、握る→握るといえばハンドグリップ→ハンドグリップを握ってゆいの声で「にぎにぎ」としゃべったら面白そう!と何故か突然閃いてしまった。閃いてしまったので作るしかない。どうやって作るか考えてみた。
今回は秋月電子通商で売っている音声録音再生IC「HK829」を使用する。最大4メッセージまで録音でき、このようなおもちゃを作るのに持って来いだ。このICにあらかじめTVの音声を録音しておいて、スイッチを押す度に順番にメッセージを再生するような回路を作れば良い。
データシートの図によれば、通常はメッセージ毎にそれぞれスイッチを取り付け、再生したいメッセージに対応したスイッチを押して使用する。4メッセージを再生するならスイッチは4つ必要になる。
しかし、今回は「ハンドグリップを握るたびに指定された順番でそれぞれのメッセージを流す」という仕様で、ハンドグリップを握った事を検知して装置が反応するということで「スイッチは一つ」だ。これはこのICだけでは実現できない。こういった機能を出来るだけ単純な回路で実装しようと思ったら、マイコンの登場だ。
HK829のデータシートを更に読み込むと、メッセージ再生用のピンが16ms以上Low(GND電位)になるとメッセージが再生されるとある。HK829のM0~M3ピンの周辺回路を下図に示す。
- 図2: HK829のM0~M3ピン周辺回路
通常はこれらのピンの電位はHighで、スイッチを押した時だけLowになる。このスイッチと同じ役割をマイコンにやらせることも出来る。HK829メッセージ再生用の4つのピンにそれぞれマイコンのGPIOピンを繋ぎ、一つしかないスイッチもマイコンに繋ぎ、スイッチを押す度に指定した順番でマイコンの対応するメッセージのピンを16ms以上Lowにすれば良い。下図がマイコンとHK829を接続した状態だ。
- 図3: HK829とマイコンを接続し、一つのスイッチで制御する回路
以上を踏まえて、必要な部品を選定する。
まずは音声録音再生IC「HK829」。これが無いと始まらない。
また、マイコンが必要だ。上記のような単純な動作は多分どんなマイコンでも出来るが、自分はAVRの開発環境が整っているのでAVR ATtiny13Aを使用する。スイッチ入力を検知するための外部割り込み機能があり、それに使用するピンを除いてもGPIOが5つある。後はタイマも内蔵されている。つまり、必要なマイコンの機能は外部割り込みとタイマだ。後はスイッチが押された回数を記憶する機能。これらは多分殆ど全てのマイコンが持っていると思うので、自分の知識や環境に合わせてPICでもArduinoでも好きなマイコンを使えばいいと思う。
後、自分は元々ATmega328Pならいくつか持っていたので別にそれでもいいのだが、外部割り込みとタイマしか使わない割にはオーバースペックであり、DIP28ピンもあり基板上で場所を取る。ATtiny13AはDIP8ピンで小さく、必要な機能が揃っているという事で選定し、新たに購入して用意した。
また、スイッチ入力はチャタリングが付き物だが、対策としてシュミットトリガインバータとコンデンサを組み合わせた回路が有効だ。しかし、ロジックICで定番の74HCシリーズではシュミットトリガインバータが内部に6個も実装されているが実際に使うのは1個であり、DIP14ピンで場所も取る。これも秋月電子通商に1回路入りのTC7S14FというSOT23パッケージに似た米粒より小さいとても小型の物があったのでそれを使用した。折角小さいのだが、逆に小さすぎて使いづらいので変換基板でDIP6にしてしまったが…。それでも74HCシリーズのDIP14ピンに比べれば大分小さい。
それと、後に必要無い事が判明してしまうのだが、HK829で直接スピーカーを鳴らすのは難しいかと思い、定番のアンプICである386を使用した。
マイコンプログラム編に続く。
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