結論
使えない。
背景
エアブラシを使うときに必須のツールクリーナー。典型的な有機溶剤で、消防法の危険物の分類としては第4類第1石油類である。
ツールクリーナーは1l辺り1500~2000円位して高いなと思って調べたら、アセトンで代用している人も結構いるらしい。アセトンはヒロバ・ゼロで税込で1lが770円、2lが1210円、4lが1320円、18lが5073円で売っていて4lか18lなら結構安い(2020年9月15日現在)。そして、アセトンも第1石油類(水溶性)である。
ホワイトガソリンも第1石油類なので、引火点、沸点等の特性が近い筈…これはキャンプのガソリン機器に使えるのでは?と思った。
しかし、ネット上でガソリンの代わりにアセトンを使ってみたと言う情報は自分が検索した範囲では見つからなかったので、自分で確かめてみよう!と思った。
動機
何故そんな事をするかと言えば、ホワイトガソリンが高い、これに尽きる。
コールマン純正のホワイトガソリンは4lで3000円以上する。自動車用のレギュラーガソリンは時期にも依るが高くても1lで150円程度と考えたら、驚く程高価だ。後者は価格の半分以上税金で、前者は消費税程度しかかかっていないのにも関らずだ。
そこでネットで調べてみると、一斗缶で6400円~8100円程度のものが見つかる(2020年9月15日現在)。
しかし、アセトンの一斗缶はこれより更に安い上に、エアブラシ洗浄用としても使える。ホワイトガソリンは自分は燃料としてしか使い道が無い。
結果
始めは一瞬火が着くが、すぐに消えてしまう。挙動的に空気過多の様子。バーナーヘッドの段を減らしてやってみてもうまくいかない。
- 通常のバーナーヘッド
- 段を減らしたバーナーヘッド
挙句の果てには、何日か経った後に通常のホワイトガソリンを入れて使おうとしたらポンピングのゴムが劣化し、チェックバルブも故障した模様でポンピングしてもタンクの圧がすぐに抜けてしまう。アセトンに侵されてポンピングやチェックバルブのゴムが駄目になったものと思われる。後でポンピングのゴムとチェックバルブ買って交換しないと…orz
ホワイトガソリン機器にアセトンを入れたらダメ、ゼッタイ。
原因の推定
燃え方がどう見ても空気過多(燃料が薄すぎる)という状態だったので、ガソリン燃焼の空燃比とアセトン燃焼の空燃比が違いすぎるのだろう。
ホワイトガソリンは、缶の表記に依ればベンゼン、トルエン、キシレン、n-ヘキサン、エチルベンゼンが含まれているらしい。
- ホワイトガソリン缶の成分表示
$$\require{mhchem}$$
$$\ce {2C6H6 + 15O2->12CO2 + 6H2O}…ベンゼン \\
\ce {C6H5CH3 + 9O2->7CO2 + 4H2O}…トルエン \\
\ce {2C6H4(CH3)2 + 21O2 ->16CO2 + 10H2O}…キシレン \\
\ce {2C6H14 + 19O2 ->12CO2 + 14H2O}…n-ヘキサン \\
\ce {2C6H5C2H5 + 21O2 ->16CO2 + 10H2O}…エチルベンゼン $$
$$
\ce {CH3COCH3 + 4O2 ->3CO2 + 3H2O}…アセトン$$
上5つがホワイトガソリンの成分、下1つがアセトンの燃焼式だ。この式から分かるように、それぞれの物質1に対して必要な酸素はベンゼン7.5、トルエン9、キシレン10.5、n-ヘキサン9.5、エチルベンゼン10.5と、それぞれの成分の含有率が不明な為正確ではないがホワイトガソリン1に対しておよそ10の酸素が必要であろう。対して、アセトン1に対して必要な酸素は4と、2.5倍もの開きがある。これでは、燃焼不良を起こしても納得と言うものだ。
総括
繰り返すが、ガソリン機器にアセトンはダメ、ゼッタイ。
まともに燃えない上にゴムの部品が駄目になり故障する。