はじめに
お約束ですが、ネット上の情報を参考に作業をするときは自己責任です。このページを見て作業をし、損害を被っても私は責任は取れません。実際に作業をする際は、万全な安全対策を講じた上で実施してください。
また、エンジン周りの作業は必然的にガソリンまみれになります。当然火気厳禁です。タバコ吸いながら作業なんて持っての他です。換気の悪い場所での作業も危険です。屋外か、風通しの良いガレージで実施しましょう。
ガソリンは身近な割りにかなり危険な代物で、爆発事故を起こすことすらあることを肝に銘じましょう。
事の始まり
世間では刈払機、(肩掛け式)草刈機と見た目は殆ど同じだけど二通りの呼び方があるこの代物。私は両者の厳密な定義はよく分からないが、なんとなく(肩掛け式)草刈機は刈払機の範疇に含まれる気がするので、ここでは刈払機と統一して表記する。
手元に故障している刈払機が2台あり、このまま放置させておいても勿体無いし、草を刈りたくなったときに困るので修理してみた。
一台は、最近リコイルスタータを何度引いてもエンジンがかからない。3ヶ月くらい前は使えた気がする。
一台は、プライミングポンプが割れていて、1年くらい放置してある。
後者のプライミングポンプが割れているのは、多分ポンプを交換すれば動くようになるだろう。少し厄介なのは前者だ。エンジンがかからない理由はいろいろ考えられる。
エンジンがかからない方の刈払機(丸山製作所 BIG-M CBC320)
今回のエンジンがかからない刈払機の状態は…
- リコイルスタータは引ける→リコイルスタータは正常・エンジンは焼きついていない
- リコイルスタータを引いたときにある程度の重さがある→圧縮がある・ピストン周りは正常
- プライミングポンプを押すと燃料は来る→燃料フィルタ・ホースは正常
この状態で個人で修正できそうな部分で疑ってみるのは、燃料、点火プラグ、キャブレター辺りだ。
結果的にはここで始めに燃料を変えてみれば良かったのだろうが、スルーして点火プラグをみてみた。
点火プラグを外して目視点検。プラグレンチがなかったので、19mmのディープソケットとラチェットハンドルを使って外した。多少黒いが許容内な気がした。
プラグキャップをつけてプラグのねじの部分がシリンダに付く様にしてリコイルスタータを引いてみる。火花もちゃんと出ている。プラグの可能性は薄いが、一応新品に換えてみた。やっぱりかからない。
ではキャブレターかと思い、分解してみた。キャブレターを分解する際にエアフィルタを外すのだが、フィルタの役割をするスポンジは見当たらず、ネチャネチャした直径1cmくらいのカスがいくつかエアフィルタケース内に溜まっていた。スポンジが完全に腐っていた。
エアフィルタは今回のエンジンがかからない原因ではないが、砂埃が立ちまくる草刈の現場で使う刈払機にエアフィルタが無いのはまずいので、注文しておいた。
では砂埃などがキャブレターやシリンダ内に侵入して不調なのかと疑ったが、キャブレターは意外と綺麗だった。
写真1 Walbro WYJ型キャブレターを分解した様子
キャブレターについていろいろ調べていたら、ゴム製の部品が多く使われておりそれらは消耗品であるらしい。特にダイヤフラムなどは劣化はキャブレター由来のエンジン不調の原因の上位に挙がるようだ。なので、分解ついでにこれらのダイヤフラム、ガスケット類の交換を試みる。
写真2 ダイヤフラムの拡大
刈払機のキャブレターを分解するのは初めてなのでこのダイヤフラムという部品を見るのも初めてなのだが、それでもゴムが劣化して硬くなりベコベコになっているのが分かる。やはり交換した方がよさそうだ。
写真3 プライミングポンプの拡大
プライミングポンプはまだ使える状態だが、大分燃料を吸って色が赤くなっている。そんなに高くないので(メーカー純正で600円くらい、社外品で300円以下)これも交換する。
そして、それらを交換してエンジン始動を試みたがやはり動かない。
じゃあ燃料しかないかということで、タンクの蓋を開けた状態で刈払機をひっくり返してオイルパンに燃料を出してみた。
ガソリンは法律でオレンジ色に着色することが義務付けられており、一般的な2サイクルエンジンオイルは赤色をしている。つまり、燃料は赤っぽく見えなければ駄目なのだが、抜いた燃料はどう見ても緑色といった方が近かった。
つまり、燃料が完全に腐っていた。
念のため新しい燃料でキャブレターをフラッシングした後に新しい燃料を入れ、始動する。
動いた!!!!
実際にはプラグやキャブレターオーバーホールをしなくても燃料を変えただけで動いた可能性があるが、いろいろ勉強になったのでよしとしよう!
プライミングポンプが割れている方の刈払機(共栄社 BARONESS PMK31CE)
これもちゃちゃっとキャブレターを分解してポンプだけ交換すれば余裕だろう!と軽い気持ちで分解してポンプを外したら、橙色の小さいゴムがぽろっと落ちてきた。
どうやらチェックバルブのへそみたいな部分が丸い部分から外れて分離してしまったらしい。
TKキャブレター(型番忘れた)を分解した様子
この写真の右から3番目の部品がチェックバルブで、本当は傘みたいな形をしているのだが柄の部分が取れてしまっている。参考にしたサイトでチェックバルブを単品で入手するのは難しいと説明されていたりしたので不安になった。
しかし、なんとか新品のプライミングポンプとチェックバルブを入手して交換!ついでにダイヤフラム・ガスケットのセットも購入して交換した。
新品のチェックバルブ。これはWalbro製だが、大きさがあえば他メーカーのキャブレターに流用しても問題ないらしい。
こちらの刈払機は燃料が完全にすっからかんで、始めから新しい燃料を入れたので燃料の問題は特に起こらなかった。
こうして、ダイヤフラム・ガスケットセットが2セット、プライミングポンプ2個、チェックバルブ1個が合計2300円くらい、エアフィルターが1000円くらい、点火プラグが600円くらいで合計4000円くらいで2台の刈払機が完全に復活したのであった。
個人でキャブレターパーツを入手するならココ!「キャブレターパーツドットコム」
しかし、問題は刈払機のキャブレターに使われているパーツなんていうマニアックなモノをどうやって個人で、それも1個単位で入手するか。シンプルにして最大の難問だ。
最近の情報化社会は凄い。そんな難問を一発解決してくれる神がかり的なWebショップがあった!
その名も、キャブレターパーツドットコム!
個人に対しても1個単位でキャブレターパーツを売ってくれる素晴しいサイトで、値段もお手軽。ダイヤフラム・ガスケット類のセットはキャブレター1個分で1000円前後で、プライミングポンプは純正品が600円くらい。社外品は300円くらい。発送はメール便を基本としているので、メール便で送れる封筒に入る量なら送料は一律80円(一部例外あり)
メール便で不安な人は追加料金を払えば他の発送方法にも対応する。
普通の人はキャブレターパーツの注文にあまり慣れていないと思うので、いくつか注意点というかコツのようなものを述べる。
まず、刈払機の型番でググっても、キャブレターの型番はほぼ出てこないと思ったほうがいい。
キャブレターのメーカー、型番は大体キャブレター本体に刻印されているので、そこで見分ける。たまに刻印されていないものもあるようなので、そういったものは分解して、現物のダイヤフラム、ガスケットの寸法、形とサイトに載っている写真を比べて判断しよう。不安なら刈払機の型番で問い合わせてもいいかもしれないが、先方がデータを所有していない可能性もあるので、その場合はやはり現物と写真で判断するしかない。
また、ここのショップは独自のショッピングサイトとヤフオク!を並行して運営している。サイトに載っていてヤフオク!に載っていない商品、またその逆もある。そして、今回のチェックバルブのように両方に載っていない物もある。両方を一通り調べて、それでも載っていないものは、刈払機のメーカー・型番、キャブレターのメーカー・型番、また現物の形・寸法を提示してサイトの問い合わせフォームから問い合わせてみよう。
今回私はサイトとヤフオク!両方に載っている商品、ヤフオク!のみに載っている商品、両方に載っていない商品が同時に必要だったので、メールで注文した。
基本的に価格表示はメール便での送料込みなのだが、複数注文して1梱包にまとまれば割安に買える。(ダイヤフラム・ガスケットセットは2個以上(違う型番でもOK)買うと合計金額から10%引き(送料分よりも多い金額を引かれる)になる)
リンク集
今回お世話になったキャブレターパーツドットコムの関連リンク、また参考にしたサイトのリンクを貼ります。
- キャブレターパーツドットコム
- キャブレターをオーバーホールするときは、ダイヤフラムやガスケット、プライミングポンプを点検し、劣化しているようなら交換しましょう。そんな交換パーツを入手するならココ!
- ヤフオク! – ponkichi173さんの出品リスト
- キャブレターパーツドットコムの管理人さんの出品リスト。サイトに載っていない商品はこちらでも探してみましょう。
- お問い合わせ – キャブレターパーツドットコム
- 両方とも調べて無いパーツは、こちらのフォームで質問してみましょう。話をスムーズに進めるためには、既に述べたように型番等を調べて確実に伝えることが大切です。
- ダイヤフラム式キャブレター – 農業機械の簡単メンテナンス
- ダイヤフラム式のキャブレターについて、とても詳しく解説されています。部品の名前などはここで調べました。
- 2サイクルエンジンの始動、故障診断とその対処 – 農業機械の簡単メンテナンス
- 刈払機のエンジンの故障診断の仕方は、このページを参考にしました。
- 刈払機のプライマリーポンプと燃料ホースの交換
- プライミングポンプ(プライマリーポンプと同義)の交換の仕方はこのページを参考にしました。
- 草刈機の修理(エンジン不調編 & 整備編)DIYで修理!
- エンジンの大まかな分解の仕方の参考にしました。
- Amazon.co.jp: BIGM(丸山製作所) 刈払機エンジンスペアーパーツ クリーナーエレメント 620690
- 実は、エアフィルタのスポンジはAmazonで買っていたりします。Amazonほんと何でも売ってるな!昔は本屋だったって知っている人は今はどのくらい居るんでしょうか。
最後に
私は今までエンジンというものをまともに触ったことがありませんでしたが、ここまで修理できました。パーツを個人に単品で売ってくださるキャブレターパーツドットコム、それから非常に有用な情報を提供してくださった様々なサイトに感謝です!
このページとリンク先を一通り見れば、点火プラグ、キャブレターに起因する刈払機の故障は少し機械が触れる人なら誰でも修理出来ると思います。
自分で機械を直せたときの達成感は何事にも例え難いものがあります。是非挑戦してみてください!